プラスチックの比重、密度について

2019.2.1

種類ごとの比重と密度の違い

プラスチックの比重は金属に比べて軽いのが特徴ですが、どれくらい軽いのでしょうか?

通常、プラスチックは1種類のポリマーだけでなく、例えば、機械強度を増加させたり、耐熱性を向上させるなど、さまざまな機能を付加するために添加物を含有しています。
その添加物によって比重が変わるので注意が必要です。
機械強度を増すためによく使われるガラスフィラーを40%添加すると、比重は30%ほど増加します。

IEEEに従った製品の場合、100gを超えるプラスチック部品には素材を明記する必要があります。添加物も同様で、略称-添加物と割合を刻印もしくはスタンプします。
例えば、PPにガラスフィラー40%の場合は、ガラスフィラーも略語のGFを使いPP-GF40と掲載します。ちなみにガラスビーズはGBになります。
代表的な金属の比重は、アルミニウムが2.7g/cm3、鉄が7.2g/cm3なので、はるかに軽いことがわかります。

ところで、水と比べるとどうでしょう?
水は比重が1g/cmなので純粋なプラスチックならば比重が小さいものもありますが、添加物が入ると水より重たくなります。
すなわち水に沈む場合が多いです。

プラスチック比重例

基材略称比重( g/cm3)添加物込みの比重( g/cm3)添加物
ポリプロピレンPP0.9~0.911.22~1.23ガラスフィラー40%
ポリエチレンPE0.91~0.965  
ABS樹脂ABS1.01~1.041.36ガラスフィラー40%
アクリルPMMA1.17~1.20  
ナイロンPA1.01~1.02  
ポリカーボネートPC1.21.52ガラスフィラー40%
ポリアセタールPOM1.421.56ガラスフィラー20%

比重の違いとは?

プラスチックの比重を決めているのは、プラスチック材料+添加剤です。
例えば、機械強度を高めるためによく用いられるガラスフィラーやガラスビーズは、その名の通りガラスでできています。一般的なガラスの比重は2.5g/cm3です。

そのほかには、同じように機械強度を増すだけでなく、電気が流れるようにする(導電性を持たせる)ためによくつかわれるのが金属フィラーやカーボン系フィラーです。

金属フィラーでは、酸化スズ(比重6.6 g/cm3)、酸化亜鉛(比重5.7 g/cm3)、酸化チタン(比重4.6 g/cm3)があります。金属なので比重は高めですが、その中でもチタン系のフィラーを選択すると比較的低比重なプラスチックをつくることができます。
カーボンフィラーはカーボン(炭素:C)の比重が1.8~3.5 g/cm3なので、金属フィラーよりは低比重なプラスチックをつくることができます。

近年、流行となっているカーボンナノチューブはCFRPと呼ばれるカーボン繊維を充填した素材は、低重量で金属と同等もしくは同等以上の強度を持つことで注目を集めています。

プラスチックの重さ(比重)が気になる場合は、プラスチックだけでなく添加剤の比重も考慮するようにしましょう。


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