プラスチックの一種「ポリオレフィン」とは?
2018.7.20
ポリオレフィンってなに?
ポリオレフィンはプラスチック(樹脂)の一種で、世の中にもっとも出回っている樹脂材料です。
でもよく考えると、世の中に出回っているわりには「ポリオレフィン」という言葉はあまり聞きません。どういうことなのでしょう?
実は理由があります。
ポリオレフィンは特定の構造をもつ樹脂の総称であり、特定の樹脂を示すわけではありません。
本記事では、ポリオレフィンの特徴や種類についてご紹介いたします。
ポリオレフィンの特徴
ポリオレフィンは、内部に炭化水素の2重結合を持った樹脂の総称です。
燃やすと炭素と酸素が結合して二酸化炭素、水素と酸素が結合して水を発生するため、環境にやさしい材料といわれています。
一般的によく使うプラスチックと呼ばれる硬化した材料だけでなく、常温状態でゴムのような弾性をもつエラストマーにもなります。
また、薄く伸ばしてフィルムとして使うこともできるので、さまざまな用途で使用されています。
おそらく一日生活をして、ポリオレフィンを見ない日はないといっても過言ではありません。それくらい流通し、使用されています。
そんな流通しているポリオレフィンの特徴は
無味無臭で無毒
後処理不要で、食品のような衛生管理が必要なところでも使えます
防湿性が良い(吸水率が低い:0.01%以下)
袋やフタのような気密したいところに使えます
軽い
比重が1以下とアルミより軽いため、製品の軽量化がはかれます
熱で溶融し、成形でき(いわゆる熱可塑性樹脂)、加工しやすい
部品を安価に製作することができます
耐熱性や耐寒性が優れている
最高で100℃、最低でマイナス60℃まで耐えます
耐候性、耐オゾン性が優れている
紫外線や耐オゾン性が良いため、屋外でも使用することが可能です
ポリオレフィン系樹脂の種類
お話ししたように、ポリオレフィンは総称です。
では、ポリオレフィンに含まれる樹脂はどのようなものがあるのでしょうか?
特に世の中でよく見るのが「ポリエチレン」や「ポリプロピレン」です。
ポリエチレンはエチレンを重合結合したもので、ポリプロピレンはプロピレンを重合結合したものです。
重合結合とは、簡単な構造をもつ分子化合物が二分子以上結合して分子量の大きな別の化合物を生成する反応のことをいいます。
簡単な構造を持つ一分子の分子化合物(単量体)をモノマーといい、このモノマーが重合結合した化合物のことをポリマーといいます。ポリマーになったエチレンということでポリエチレンといいます。
樹脂製品はどの材料を使っているかを明記する必要があるので、製品自体もしくは貼られているフィルムに「PE」と記載されていたらポリエチレン、「PP」と記載されていたらポリプロピレンでできているということを意味します。
①ポリエチレン(略してPE)
世界でもっともよく使われている樹脂で、2016年は国内で2,569千トンが生産されました。(日本プラスチック工業連盟調べ)
用途は、ポリ袋、マヨネーズなどのチューブ、密閉容器のふた、ラップフィルムなどに使用されています。
②ポリプロピレン(略してPP)
ポリエチレンに次いで生産量が多い樹脂で、2016年は国内で2,466千トンが生産されました。
生産量は、ポリエチレンに肉薄しています。
用途は、建築・建設資材や家庭で使われる容器、おもちゃやスポーツ用品、電気機器や梱包材料、文房具などで使用されています。
まとめ
ポリオレフィンは樹脂固有を示すわけではなく、ある組成をもった化合物の総称です。
ポリオレフィン自体の名前を聞くことは少ないですが、ポリオレフィンに含まれるポリエチレンやポリプロピレンは毎日見ないことがないくらい身近なところでよく使われているんですね。