接着剤の強度とは?接着強度を強くする方法とは?

2018.11.13

接着剤を使う目的は、物と物を接合するためがほとんどです。たまにコーキングのように充填して大気や水に対象物(対象部)が触れないようにするために使うことがありますがほとんどが接合のためです。

では接着剤に関する仕様を比較したい時は何を比較すればよいでしょうか?
接着剤の目的である接合の仕様として、せん断強度、剥離強度、引っ張り強度、圧縮強度などがあります。

せん断強度

せん断力は部材に沿って、部材を相互に滑る方向に働く力を指します。
せん断力を大きくしていき、接合が外れる時の力をせん断強度と言います。

引っ張り強度

引っ張り力はせん断力を90°回転させた方向の力を指します。
引っ張り力を大きくしていき、接合が外れるときの力を引っ張り強度と言います。

圧縮強度

圧縮力は引っ張り力と反対方向に接着剤を圧縮する方向に働く力を指します。
圧縮力を大きくしていき、接着剤が破壊され接合が外れるときの力を圧縮強度と言います。

剥離強度

接合された部材を、シールを剥がすように力を加えたときに、接合が外れるときの力を剥離強度と言います。

言葉としては強度の理解は容易ですが、現実の接着を考えた場合、接合が外れる力=接着強度にならないことが多いです。

カタログなどに接着剤の強度として表示されている値は、JISなどの基準にあわせて試験を行い、破断が生じたときの強度になります。
しかし、実際にはもっと弱い力で接合が外れてしまいます。破断強度を接着強度と考えるのは非常に危険です。

カタログなどに掲載されている強度よりも早くに接合が外れる原因としては
・内部破壊の繰り返しによる破断
・接着強度のバラツキ
・接着剤膜厚のバラツキ
・温度や湿度による強度劣化
が考えられます。

瞬間接着剤などでよく使われるシアン系接着剤は湿度が高くなると接着強度が50%程度まで劣化することがあります。
使用環境も大きく影響するので注意が必要です。

接着強度を強くする方法

プライマー処理

接着剤は接着剤の内部で破壊される場合と、接着物、非接着物の表面ではがれる場合があります。プラスチックのような難接着材料とよばれる材料を接合する場合は、プライマーとよばれる下塗り剤を塗布することで接着強度を高めることができます。プライマーは使用する材料によってことなるので注意が必要です。

機械的処理

非接着部材の表面粗さを細かくする、場合によっては逆に接着面積を稼ぐ、接着剤が絡みやすくするために表面粗さを粗くすることで接着強度を高めることができます。

化学的処理

表面の酸化被膜を剥がすことによって接着強度を高めることができます。また耐久性が高まる、難接着プラスチックの接着強度を高めることもできます。

物理的処理

主にプラスチックの表面改質を行うことで接着強度を高めることができます。
例えば、紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などがあります。いずれも施工する対象物によって行うパラメータ(例えば波長など)が異なるので注意が必要です。


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