EVA系ホットメルトとAPAO系ホットメルトの違い
2019.8.6
EVA系ホットメルトとは
ホットメルトは、加熱して接着剤を溶かし、冷却固化するときに接着機能を発揮する接着材です。
EVA系は最もよく使われているホットメルトの一つです。EVAはエチレン酢酸ビニルのことを指し、他のベースポリマーに比べて安価であること、接着性および流動性が優れており、他の配合物との相溶性が良く様々な仕様に対応できるため、汎用品として多く使われています。
EVA系ホットメルトの特長
EVA系ホットメルトは紙、木材へ接着するという点では最も優れています。金属や無機物に対しては接着しないことが多く、向いていません。ほかの接着剤にくらべて、被着物の種類が幅広い、接着硬化するまで短時間、毒性や火災の危険がない、経済性が優れている点が特徴です。オープンタイム(高温に溶かしてから冷えるまでに接着剤として使える時間)は数秒~40秒ほどと幅が広く、用途に合わせて選ぶことができます。また、セットタイム(初期接着強度を発現するまでの時間)は数秒と短く、接着してすぐに使えるのも特徴です。
耐熱温度は比較的低く、65℃以下です。
接着剤の色は黄褐色が多く、白濁色や半透明、短黄白色や白色があります。
EVA系ホットメルトの用途や種類
安価でセットタイムが速く粘度域も広いため、梱包や製本業界、段ボールのような紙材の接着によく使われています。また布や軟質塩化ビニルなどのプラスチックへの接着性も良好です。また、合板中芯の継ぎ合わせや木工関係、建材用で重宝されています。ほとんどのEVA系ホットメルトは食品衛生法に対応しており、人体に優しく、人が直接触る部位や食品関係の包装にも使われています。
APAO系との違い
APAO(非晶性ポリオレフィン)はプロピレン、プロピレンとエチレンなどを共重合させた熱可塑性のオレフィン系ポリマーです。EVA系接着剤は紙や布の接着に力を発揮しますが、接着性が悪いPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)への接着はあまり向いていません。APAO系は逆に紙などの接着にはむいていませんが、PPやPEといった非極性材料への接着は向いています。
APAO系の多くは軟化点温度が100℃以上と高く、EVA系は80℃~と低めとなっています。
また、APAOは粘度が1000以下~7,000(cps/180℃)に対してEVAは1000以下~10,000超(cps/180℃)と幅広く、特に粘度が高い領域に強いため、繊維など染み込むような素材の接着で力を発揮します。
APAO系ホットメルトの特長
APAOの特長をよくあるご質問とともにご紹介します。
APAOホットメルトのオープンタイムは?
REXtac社製APAOのオープンタイムは数秒~800秒とEVAよりも幅広いので、用途に対してより柔軟に対応できます。
APAOホットメルトの比重は?
EVAよりも低比重であり、製品への軽量化や、平方メートル当たりのコスト削減に寄与します。
APAOの熱安定性は?
熱安定性、耐熱性もEVAよりも優れているため、要求条件が厳しい用途にも使用されています。